【インボイス制度】簡易課税制度選択届出書の提出忘れに朗報!
2024/01/26
消費税の計算方法には原則的な計算方法と簡易的な計算方法の2つがあります。簡易的な計算方法は、簡易課税制度と呼ばれ、売上に係る消費税のみから納付すべき消費税を計算することができる計算方法です。この制度を利用する(選択する)には、個人事業主であればその利用する年、法人であればその利用する事業年度の開始日の前日までに、税務署に対して簡易課税制度選択届出書を提出する必要があります。
インボイス制度がスタートし、これまで消費税の申告をしなずに済んだ免税事業者も、インボイスを登録することで消費税の申告をしなくてはならなくなりましたが、これらの事業者の消費税の負担を軽減する措置に、仕入税額控除の金額を売上に係る消費税の100分の80に相当する金額とする措置(いわゆる「2割特例」と呼ばれるもの)があります。この2割特例は、簡易課税制度のように事前に届出書を提出する必要はありません。ただし、この2割特例が使えるのは、あくまで基準期間(通常、個人事業主であれば2年前の年、法人であれば、前々事業年度)における課税売上高が1,000万円以下であることが前提となります。
したがって、2割特例を利用した課税期間の直前の課税期間の売上が1,000万円を超えていた場合には、2回連続で2割特例は使えないということになります。しかも、次の課税期間で簡易課税制度の適用を受けるには、その適用を受ける課税期間の開始日の前日までに、つまり、2割特例を利用した課税期間中に、届出書を提出する必要があります。2割特例は申告時に有利と判断すれば適用が可能であるにも関わらず、簡易課税制度に関しては事前に届出が必要であるため、納税者にとってどうすれば有利になるのか、判断に誤りが生じる恐れがあります。
しかしながら、2割特例を利用した事業者に限っては、特別な措置があります。具体的な内容は、2割特例の適用を受けた課税期間の翌課税期間中に、簡易課税制度選択届出書を提出したときは、その提出した日の属する課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができるというものです。
この措置のおかげで、簡易課税制度選択届出書の提出忘れをある程度防ぐことができるのではないでしょうか。